MRA201

■ 安価だが、必要十分な機能と付属品。

■ 様々なメーカーからOEM品と思われる同じ製品が販売されている

■ 5万回の抜き差しに耐えられるとされるコネクタ部。


「MRA201」本体
「MRA201」本体。最低限のフレームのみで構成されているため、スカスカな印象を受けるが、本体にファンが搭載されていないので冷却面では有利に働くと思う。本体にはファン取り付け用のネジ穴が開いていないので、冷却ファンを利用する時には工夫が必要となる。
 HDDの接続がシリアルATAになってから、接続端子が比較的コンパクトになったせいか、むき出しのHDDを抜き差しして使用するリムーバブルラックが増えてきています。それ以前はカートリッジ方式が主流で、本格的に運用するためには使用するHDDの数だけカートリッジを用意しなければならず、個人が運用するには少々面倒な部分も多かったように思います。もちろん、取り外したHDDの保管という観点では、カートリッジ方式にアドバンテージがあるのも確かですが、取り回しの容易さではむき出しのHDDを直接抜き差しする方式に軍配が上がると思います。

 現在のPCには5インチベイの空きがまだ2つほどあります。電源ユニットもSilverStoneの850W電源「DA850」に交換したため、電源容量的には、まだHDDを増設しても充分に対応できる余裕があります。バックアップや大量保存用のHDDをリムーバブルラックに入れて使用出来ると便利なのではないかと思い、PCにリムーバブルラックを取り付けることにしました。

 そこで購入したのが、DOS/Vパラダイスでノーブランド1,580円という価格で販売されている「MRA201」という製品です。現在販売されているリムーバブルラックの中では最安値クラスに属する製品で、見た感じではそれより1,000円程度高値で売られている同等の製品とあまり変わらない印象です。とはいえ、リムーバブルラックのように制御チップを搭載していないPCパーツの優劣は、ほとんど物理的な製品の加工精度と部品の耐久性に依存します。これらの要因はコストダウンの影響をもろに受けるだけに、価格が安いというだけで飛びつくのは実は危険なのですが、実際の製品を手にとって見た限りでは意外とまともに作られているという印象を受けました。

「MRA201」パッケージ 「MRA201」パッケージ内部
「MRA201」パッケージ。ノーブランドとして売っているだけあって、製造メーカーの記載がどこにも無い。しっかりパッケージに製品内容が印刷されているのが逆に違和感を感じる。 「MRA201」の箱を開封すると、簡素ながら対衝撃用の紙で出来た緩衝材で保護されて本体や付属の部品が収められている。包装はブランド名を付けられてリテール品として販売されているPCパーツとそれほど変わらない印象である。


 細かな違いはあるものの、基本的に現在国内で数社から販売されているHDDをそのまま抜き差しする方式のリムーバブルラックの仕組みは似たり寄ったりといったところで、カードリッジ方式のようにHDDを抜き差しする取っ手を付けられないために、ケースの奥側からドアの開閉と連動したハンマーでHDDを押しだす仕組みになっています。

 ノーブランド扱いとはいえ、白箱に入ったいかにもバルク品という包装ではなく、リテール品として販売されている製品と同様に製品の写真や特徴が印刷された化粧箱に納められています。面白いことに、パッケージデザインにもそれなりに気を使って比較的しっかりと包装されているのにも関わらず、製造元あるいは販売元のメーカー名がどこにも見当たらないようです。

 そこで「MRA201」という製品の型番を頼りに調べてみたところ、WINGSONICというメーカーが扱っている製品のようです。もちろんWINGSONICが販売している製品もOEM品である可能性は残されており、実際の製造に携わっているメーカーは断定できない状態です。なお他にも型番を変えて、同一の製品を販売しているメーカーがあるようです

 付属品はSerial ATAケーブル、ペリフェラル4ピンから本体とパワーLEDおよびアクセスLEDに給電する専用電源ケーブル、扉をロックする鍵がスペアを含めて2つ、取り付け用のネジ、そして取扱説明書(英語)と一通り揃っています。電源が専用ケーブルを使ったペリフェラル4ピン接続仕様なのは少し微妙なところです。

 基本的にHDDの取りだしに関わる耐久性が問題になりそうな箇所の多くは金属製となっており、私が気が付いた範囲内ではドアを引っかけてロックする爪がプラスチック製で、やや耐久性に疑問が残る程度でした。取り付け金具部分がぐらぐらするので、一瞬作りがやわなように感じますが、HDDの振動がPCケースに伝わる事を防ぐためにシリコンのダンパーを介して取り付け金具に取り付けられているためで、全体の作りとしては特に問題が無いように思います。

 実際に使用してみた感じでは、HDDの挿入から取り出しまでの動作に特に不安を感じませんでした。一連の動作に安物のハードウェアにありがちな「ひっかかる」感じが無いので、よほど頻繁にHDDの抜き差しをしない限りは問題は生じないものと思います。

※: 確認をとったわけではないので同一の製品であるという保証は出来ないが、写真や仕様からおそらく「MRA201」と同一の製品とみて間違いないと思われる商品には以下のようなものが存在する。

・玄人志向から「GC3.5EZ-S」という同一と思われる商品が販売されていた。

・伽利略(ガリレオ)というメーカーから「MRA201」という製品名で製品型番35A-U2Sの同一と思われる商品が存在する。

・DAT OpticというメーカーからMR105iという型番で同一と思われる商品が販売されている。このメーカーのサイトには取扱説明書(PDFファイルが開きます)が存在するが、説明書の型番表記は「MRA201」となっている。


「MRA201」付属品 「MRA201」ドアオープン時 「MRA201」背面
付属品はシリアルATAケーブル、ペリフェラル4ピンに接続して使用する専用の電源ケーブル、鍵、取り付けネジ、取扱説明書と一通り揃っている。 フロントの扉を開くと、本体後部にあるハンマーによりHDD後部が押されて、HDDを取り外すことが出来る仕組みになっている。 背面にはパワーおよびアクセスランプとして機能するLED接続用の小さな基盤が取り付けられている。

「MRA201」HDD挿入時 「MRA201」シリコンダンパー
HDDはフロントの扉で押しこむような形でセットする。HDDそのものを押しこもうとすると指を挟んでしまうことになる。HDDと接触する部分は耐久性を考慮してか、金属製の板で補強されている。 5インチベイ取り付け金具と本体はHDDの振動が直接PCケースに伝わることを防ぐため、シリコンのスペーサーを介して接続されている。そのため、PCに取り付けていない状態では5インチベイ取り付け金具には結構遊びがある。


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